2026年第1四半期のグローバル不動産直接投資額は、前年同期比18%増の2,160億ドルに達し、市場の回復基調が鮮明となった。特にアジア太平洋地域が31%増と牽引し、米国REIT指数はS&P 500をアウトパフォームしている。地政学的リスクが残るものの、中立金利への接近と堅調なファンダメンタルズが投資家のリスクオン姿勢を支えている。
世界直接投資額18%増:アジア太平洋と北米が牽引する回復局面
2026年第1四半期(Q1)のグローバル不動産市場は、マクロ経済の不確実性を跳ね返し、力強い回復を見せた。JLLの最新データによると、世界全体の直接投資額は2,160億ドルを記録し、前年同期比で18%の増加となった。地域別では、日本とシンガポールの記録的な取引量に支えられたアジア太平洋地域が31%増と突出しており、北米(米国・カナダ)も25%増と堅調な伸びを示した。一方、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は前年の高水準からの反動で2%の微減となったが、クロスボーダー投資の40%を占めるなど、依然として高い流動性を維持している。
| 地域 | 投資額増減率 (YoY) | 主要トピック |
|---|---|---|
| アジア太平洋 | +31% | シンガポールが四半期ベースで過去最高額を更新 |
| 北米 | +25% | 米国オフィス市場の供給不足による賃料上昇圧力 |
| EMEA | -2% | 英国・ドイツが牽引、クロスボーダー投資が活発 |
REIT市場の逆転現象:S&P 500を凌駕するパフォーマンス
特筆すべきは、上場不動産証券(REIT)のパフォーマンスである。S&P Globalのレポートによれば、2026年Q1のDow Jones Equity All REIT指数は3.8%のトータルリターンを記録し、同期間に4.3%の下落を見せたS&P 500を大きく上回った。この「逆転現象」の背景には、金利環境の安定化と、実物資産への回帰がある。特に物流施設やデータセンター、住宅セクターのREITが堅調で、キャッシュフローの安定性が再評価されている。JLLの業績においても、リーシング・アドバイザリー部門が16%増、キャピタル・マーケッツ部門が21%増と、実需と投資の両面でモメンタムが加速していることが裏付けられた。
供給制約と地政学リスク:2026年後半への展望
今後の市場動向を左右する要因として、供給サイドの制約が挙げられる。米国のオフィス市場では新規着工数が過去最低水準にあり、高品質な「プライム・スペース」の争奪戦が激化している。これは、既存の優良資産のバリュエーションを下支えする要因となる。一方で、中東情勢(イラン紛争)に起因するサプライチェーンの混乱やエネルギー価格の変動は、ダウンサイドリスクとして注視が必要である。しかし、主要中央銀行の政策金利が中立水準に落ち着きつつある中、投資家は「待機資金(ドライパウダー)」の投下を本格化させており、2026年後半にかけて取引価格のさらなる安定と上昇が見込まれる。
出典:JLL (2026-05-05), S&P Global (2026-04-02), JLL Newsroom (2026-04-30)
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