中国商務部は6月22日、MP MaterialsとUSA Rare Earthを含む米国10社を輸出管制管控リストに追加し、中国原産デュアルユース品の輸出と第三国経由の移転を禁止した。レアアース規制は2025年4月の中重希土類許可制から、米国の磁石供給網そのものを対象に含む段階へ移った。

今回の措置は、鉱山の保有量ではなく、分離、金属化、合金、永久磁石までの中流・下流工程が制約点であることを示す。米議会調査局は2026年6月12日更新資料で、中国が世界のレアアース採掘の約60%、処理・分離の約90%、レアアース磁石製造の約94%を占めると整理した。IEAも2026年4月の分析で、中国が2024年に磁石用レアアース採掘の60%、精製の91%、焼結永久磁石生産の94%を占めたと示している。

中国の追加措置が米国レアアース企業を直接射程に入れた

中国商務部公告2026年第23号は、対象10社へのデュアルユース品の輸出を禁じるだけでなく、いかなる国・地域の組織や個人も中国原産品を対象企業へ移転・提供してはならないと明記した。進行中の関連輸出活動も即時停止とされ、例外的に輸出が必要な場合は商務部への申請が必要となる。対象には無人機、航空宇宙、防衛関連企業に加え、米国のレアアース供給網を担うMP MaterialsとUSA Rare Earthが含まれた。

2025年規制は背景に下がり、2026年は企業リストが焦点になる

2025年4月4日の中国商務部・海関総署公告は、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの金属、合金、酸化物、化合物、一部永久磁石材料に輸出許可制を導入した。これに対し、2026年6月の追加措置は鉱種別の許可制ではなく、米国企業10社を対象に中国原産デュアルユース品の供給を遮断する設計である。個別鉱種や数量への影響は公告文からは確認できないため、企業の調達審査、契約条項、在庫日数に影響する制度変更として扱う必要がある。

G7の60%未満目標が供給網再設計の数値基準になる

G7は2026年6月17日の首脳宣言で、レアアースと永久磁石について、G7およびパートナー国外の単一供給者への依存を2030年までに60%未満へ下げ、可能な限り早期に50%へ近づける方針を示した。宣言は、2026年初から195件の重要鉱物プロジェクトが発表され、投資、出資、オフテイク契約を含む総額が640億ユーロに達したとも記載している。

供給網再構築の制約は、鉱山権益の取得だけでは解消しない。IEAは中国外の需要を満たすには今後10年で約600億ドルの投資が必要で、既存計画に加えて採掘2倍、精製4倍、磁石6倍の能力拡大が必要と分析している。G7の備蓄、共同調達、トレーサビリティ、リサイクル政策が実装段階へ進むかが、EV、風力、産業用モーター、防衛、AIデータセンターの調達リスクを左右する。

2026年6月の中国追加措置とG7宣言は、同じ週に供給制限と依存低減目標を示した。今後は、許可審査の運用、米欧日の磁石工場稼働時期、長期購入契約の価格条件が、レアアース市場の価格以上に企業の生産計画へ影響する。

出典:中国商務部公告2026年第23号・新華網転載 (2026年6月22日), G7 Leaders’ Declaration on Securing Supply Chains for Critical Minerals (2026年6月17日), CRS Rare Earth Elements and U.S. Supply Chains (2026年6月12日), IEA Rare Earth Elements (2026年4月8日), USGS Mineral Commodity Summaries 2026 (2026年2月6日)

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