2026年第1四半期、世界の不動産直接投資額は前年同期比18%増の2,160億ドルに達し、市場の回復基調が鮮明になりました。REIT市場では、負債コストの低下とM&A活動の活発化が見られ、再編の動きが加速しています。データセンターやプライムオフィスへの戦略的投資が今後の焦点となります。

国際不動産投資、回復基調を鮮明に

JLLの最新レポートによると、2026年第1四半期における世界の不動産直接投資額は2,160億ドルに達し、前年同期比で18%の増加を記録しました。この成長は、特にアジア太平洋地域と南北アメリカ地域が牽引しており、それぞれ31%増、25%増という顕著な伸びを示しています。アジア太平洋地域では日本が投資を牽引し、シンガポールは過去最高の四半期投資額を記録しました。一方、EMEA地域は前年同期比2%減となりましたが、これは2025年第1四半期が非常に堅調であったことの反動と分析されています。クロスボーダー投資も前年同期比37%増の550億ドルに達し、2022年以来の最高水準を記録しました。

REIT市場の資本再編と負債コストの改善

Nareitのデータによれば、2026年第1四半期のREITによる資本調達額は約100億ドルとなり、前年同期の122億ドルから22億ドル減少しました。しかし、この内訳を見ると、負債による調達が63億ドルと全体の63%を占め、無担保債券の平均クーポンは2025年の5.4%から4.7%へと低下しています。これは、REITがより有利な条件で資金を調達できる環境が整いつつあることを示唆しています。また、M&A活動は第1四半期に4件、総額261億ドル(負債引き継ぎ含む)と活発化しており、2025年通年のペースを上回っています。ヘルスケア分野のREITによるIPOも9.66億ドルを調達し、市場の再編と新たな成長機会が生まれていることが確認されます。

米国商業用不動産市場の展望とセクター別動向

CBREの予測では、2026年の米国商業用不動産投資額は前年比16%増の5,620億ドルに達する見込みです。これは、パンデミック前の年間平均にほぼ匹敵する水準です。多くの物件タイプでキャップレートが5〜15ベーシスポイント(bps)圧縮されると予測されており、投資家の期待利回りが低下する可能性を示しています。セクター別では、データセンターのリーシング活動が2026年に過去最高を記録する見通しであり、引き続き高い需要が見込まれます。オフィス市場では、新規建設が過去最低水準にある一方で、プライムスペースの需要は堅調であり、空室率の改善が期待されます。FRBおよびECBの金融政策は、JLLレポートで「金利は中立付近で安定」と示唆されており、不動産市場の安定的な回復を後押しする要因となっています。

今後の市場動向と投資戦略への示唆

国際不動産市場は、地政学的な不確実性が残るものの、堅調なファンダメンタルズと資本市場の健全性により、回復軌道に乗っています。特に、負債コストの改善とM&Aの活発化は、REIT市場における資本再編を加速させるでしょう。投資家は、キャップレートの圧縮傾向とセクターごとの需要動向を注視し、データセンターやプライムオフィスといった成長分野への戦略的なアロケーションを検討することが重要です。また、地域ごとの特性と金利環境の変化が投資判断に与える影響を継続的に評価する必要があります。

出典:JLL (2026年5月5日), Nareit (2026年4月20日), CBRE (2026年1月14日)

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