米国財務省外国資産管理室(OFAC)は2026年5月11日、イラン革命防衛隊(IRGC)の石油販売および中国への輸送を可能にした12の個人および団体に制裁を科した。IRGCがフロント企業を通じて得た収益を武器開発やテロ支援に充てている実態に対応する措置であり、世界のエネルギー市場と貿易に新たな緊張をもたらしている。

今回の制裁は、IRGCの石油事業を標的とした「Operation Economic Fury」の一環として実施された。OFACは、香港のBlue Ocean Limited、Sanmu Limited、Ocean Allianz Shipping LLC、Zeus Logistics Group、Jiandi HK Limited、Max Honor International Trade Co., Limited、Atic Energy FZE、Blanca Goods Wholesaler LLCを含む8つの企業と4人の個人を特定し制裁対象とした。GAGAN、CANGJIE、HASNA、HANSON、OTLA、SCALER、BELLA 1、ANDROMEDA V、SKIPPER、XD LEOといった複数の船舶も関与しているとされる。財務長官スコット・ベッセント氏は「イランの軍事組織が再編を試みる中、経済的圧力は兵器プログラム、テロ組織、核開発への資金供給を奪い続ける」と述べ、イラン政権を金融ネットワークから切り離す方針を強調した。中国の「ティーポット」製油所を含む、イランの違法な商業活動を支援するいかなる外国企業に対しても、二次制裁を課す用意がある。

ホルムズ海峡の緊張と原油市場への影響

イラン情勢の緊迫化は、世界の石油供給の約20%が通過するホルムズ海峡の安定性に直接影響する。2026年5月下旬には、IRGCが米国関連の商船に警告射撃を行ったと報じられ、海峡における緊張が再燃した。Bloombergによれば、ChevronのCEOマイク・ワース氏がイラン情勢の原油価格と世界供給への影響に言及しており、市場の懸念が浮き彫りになっている。地政学的リスクが原油価格の変動性を高め、エネルギー市場に不確実性をもたらしている。

UNCTADは、2026年の世界の貿易成長率予測を2025年の4.7%から1.5%〜2.5%へ下方修正した。地政学的緊張、サプライチェーンの混乱、エネルギー市場の不安定化が主要因だ。ホルムズ海峡の閉鎖リスクは石油だけでなく、肥料など重要物資の輸送にも波及する。米国のミズーリ州の農家が肥料価格の急騰に直面しているとKY3 Newsが報じており、地政学リスクが企業コストや消費者の生活費に直接接続している。

今後の焦点と企業のリスク管理

ホルムズ海峡の安定性は、制裁の効果と同じく、エネルギー市場と貿易フローを動かす変数だ。制裁リスト照合、サプライチェーンの脆弱性の再評価、調達先の複線化——企業の対応が後手に回れば、コスト増は突然やってくる。

出典:U.S. Department of the Treasury (2026年5月11日), Bloomberg (2026年5月29日), UNCTAD (2026年5月7日), KY3 News (2026年5月31日)

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