今年5月、オンチェーンRWA(現実資産)の運用残高は250億ドルを突破し、機関投資家による「制度化」が決定的な段階に入った。同時に、EigenLayerやBabylonによる共有セキュリティの普及は、ブロックチェーンの安全性を「所有」から「利用」へと転換させ、Web3インフラの経済構造を根本から再定義している。

RWA市場の爆発的成長:BlackRock BUIDLと「制度化」の進展

2026年5月現在、ステーブルコインを除くオンチェーンRWAの運用資産総額は220億ドルから250億ドルに達し、2024年初頭の約80億ドルから大幅な成長を遂げた。伝統的な資産運用会社によるマネーマーケットファンドのトークン化と、プライベートクレジットプラットフォームの拡大が成長を牽引している。BlackRockのBUIDLファンドは25億ドル、Franklin TempletonのBENJIは8億2800万ドル、HashnoteのUSYCは30億ドルを突破するなど、機関投資家による大規模な資金流入が顕著だ。

RWA市場の内訳を見ると、トークン化された米国債が約100億ドルで最大カテゴリを占め、次いでプライベートクレジットが約80億ドルとなっている。BlackRock、Franklin Templeton、Apollo、Hamilton Lane、WisdomTreeといった主要な機関投資家がこの市場を牽引しており、トークン化が単なる実験ではなく、本格的な流通チャネルとして定着した。Boston Consulting Groupは、2030年までにトークン化されたRWAが16兆ドルに達すると予測している。現在の水準からCAGR約50%の成長だ。

この変化は、RWAの保有者層にも影響を与えている。2023年にはDAOやクリプトネイティブな財務部門が主な保有者だったが、2026年には企業の財務部門、ファミリーオフィス、フィンテックプラットフォーム、規制されたアロケーターへと拡大した。RWAが投機的な資産から、伝統金融とWeb3を繋ぐ「制度化された」投資商品へと進化している。

共有セキュリティの成熟:EigenCloudとBabylonが変えるインフラ経済

RWA市場の拡大と並行して、ブロックチェーンのセキュリティモデルも大きな変革期を迎えている。EigenLayerは、ステーキングされたETHを外部サービス(AVS)のセキュリティに再利用する「リステーキング」の概念を提唱し、そのエコシステムは「EigenCloud」として検証可能なクラウドインフラへと進化している。2025年4月にはスラッシング機能が稼働を開始し、リステーキングの経済的インセンティブとリスクが明確化された。

EigenLayerの主要プロダクトであるEigenDAは、ロールアップのためのデータ可用性レイヤーとして機能し、モジュラー型ブロックチェーンの基盤を強化している。新しいブロックチェーンやサービスが独自のバリデーターセットを構築するコストと複雑さを大幅に削減し、セキュリティを「所有」するのではなく「利用」するモデルへの転換だ。

一方、Babylonプロトコルは、ビットコインの強固なセキュリティをPoSチェーン、特にCosmosエコシステムに拡張することを目指している。EOTS(Extractable One-Time Signatures)を用いてスラッシングロジックを実装し、ビットコインのタイムスタンプサービスを通じてPoSチェーンのセキュリティを強化している。Cosmosエコシステムのような多様なブロックチェーンがビットコインのセキュリティを享受できるようになり、ブロックチェーン全体のセキュリティが「コモディティ化」されつつある。

これらの共有セキュリティモデルの進化は、ブロックチェーンインフラの構築コストを下げ、より多くのイノベーションを促進する。Intel Market Researchは、リステーキング市場が2034年までに1987億ドルに達すると予測している。Web3経済の基盤を変える成長だ。

伝統金融とWeb3の融合:決済から資産運用へのシフト

RWAトークン化と共有セキュリティの進化は、伝統金融とWeb3の融合を加速させている。かつてステーブルコインは主に暗号資産取引の決済手段として利用されていたが、GENIUS Actなどの規制整備により、その役割は利回り資産の裏付けとしての機能へと拡大している。機関投資家は、従来の金融商品と同様のコンプライアンスとセキュリティを確保しつつ、オンチェーンの効率性と透明性を活用できるようになった。

ステーブルコインの発行体は米国債の主要な買い手となり、米ドルの役割を強化している。プライベートクレジットのトークン化は、これまでアクセスが困難だった資産クラスへの投資機会を創出し、新たな流動性をもたらしている。Web3は単なる投機市場ではなく、世界の金融システムに深く組み込まれる「制度化された」領域へと移行した。

グローバル規制と資本効率の極大化

2026年後半に向けて、Web3市場はグローバルな規制環境の収斂と、資本効率の極大化という二つの大きな潮流に直面している。EUのMiCAはすでに完全に施行され、世界で最も包括的な規制枠組みとして機能している。米国のClarity ActやGENIUS Actの進展は、MiCAと並び、デジタル資産市場の国際的な標準を形成しつつある。

規制の明確化は、機関投資家がWeb3市場に参入するための障壁を低減し、より大規模な資金が流入する道を開く。共有セキュリティモデルはブロックチェーンの運用コストを削減し、RWAトークン化は伝統資産の流動性を高める。Web3エコシステム全体の資本効率は確実に上がっている。

RWA250億ドル突破、共有セキュリティの制度化、規制枠組みの整備——これだけの変化が2026年に重なった。伝統金融がWeb3インフラを本格的に取り込む動きは、もはや構造の話だ。この流れを早く理解した側が、次の価値創造の場で先行する。

出典:Eco (2026年5月), CoinBureau (2026年5月16日), Gate.io Learn (2026年4月7日)

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